暑い時期になると、ひんやりとした冷たいスイーツが食べたくなりますよね。
そんな時におすすめなお菓子が、透明な葛生地であんこを包んだ生菓子「水まんじゅう」。その涼しげな見た目から、発祥の地である水の都・岐阜県大垣市では夏の風物詩となっています。
この記事では水まんじゅうについて知っておきたいポイントと、わざわざ訪れる価値がある、大垣の水まんじゅうの名店をご紹介します。
「水まんじゅう」とは?

水まんじゅう
水まんじゅうとは、葛粉を使った透明な生地であんこを包んだお饅頭のこと。冷蔵庫で冷やして器に盛って食べたり、冷水に浸して食べたりします。つるんとして透明感のある見た目から、夏季の生菓子として親しまれてきました。
水まんじゅうと葛まんじゅうとの違い

葛まんじゅうを桜の葉で包んだ「葛桜」
水まんじゅうとよく似た和菓子に、「葛(くず)まんじゅう」があります。見た目の違いはほとんどありませんが、葛まんじゅうの生地は葛粉と水と砂糖だけで作られているのに対し、水まんじゅうは葛粉をベースにでんぷんやわらび粉を混ぜて作られているという違いがあります。そのため、水まんじゅうは時間が経っても生地が透明で、冷蔵庫に入れた状態で2〜3日はプルプルとした食感を楽しめるのです。
水まんじゅう発祥の地・大垣

大垣の街並み
水まんじゅう発祥の地と言われているのが、岐阜県大垣市。全国でも有数の自噴帯に位置し、豊富な地下水の恵みにより「水の都」と呼ばれています。街中には今でも井戸があり、きれいな湧き水を汲み上げることができます。

大垣・高屋稲荷神社の湧き水
そんな大垣で、明治時代に名水を使って和菓子が作れないかと考案されたのが水まんじゅう。春が終わりに近づくと、和菓子屋の店頭には地下水を張った水槽が並び、その中で水まんじゅうが販売されます。食べる直前まで冷水につけておく事でぷるんとしたみずみずしい食感を失わずに食べることができます。この光景が、大垣に夏の訪れを伝え、夏の風物詩として根付いたのです。

水槽の中で販売されている水まんじゅう
大垣で買いたい!水まんじゅうの名店3選
水まんじゅうはお店ごとに葛粉とわらび粉の配合が違うため、その食感はさまざま。独自のアレンジを加えた変わり種の水まんじゅうを販売しているお店もあります。ここでは、大垣に来たらぜひ立ち寄って欲しい、水まんじゅうの名店である老舗3店舗をご紹介します。どのお店も駅から近いので、食べ比べてお気に入りのお店を見つけてみてくださいね。
金蝶園総本家
大垣駅から徒歩約1分のところにある「金蝶園総本家 大垣駅前本店」。1798年創業の老舗和菓子店です。
金蝶園総本家では元種で包んだ銘菓「金蝶園饅頭」も有名ですが、名物は何と言っても水まんじゅう。地下水を引いた水槽の中で、おちょこに入れた状態で販売されています。水まんじゅうが水にさらされている様子は、何とも涼しげ。注文を受けると、店員さんがおちょこから器に取り出してくれます。
持ち帰ることもできますが、おすすめは店内でのイートイン。水まんじゅうを冷たい地下水ごとお皿に盛ってくれます。できたての水まんじゅうは葛粉がトロトロで、口の中でとろけるような食感。水の美しい大垣だからこそ味わえる美味しさです。

金蝶園の水まんじゅう 1個130円
定番のこし餡、抹茶餡の他に、月ごとに旬の果実を用いたフルーツ餡も登場します。季節ごとに新しい味と出会えるのも嬉しいポイントですね。
大垣藩出身の蘭学者、宇田川榕菴が「珈琲」という字を創り出したことにちなんで、コーヒー味の水まんじゅうも販売されています。お好みでコーヒーフレッシュやミルクをかけても美味しく頂けますよ。
水まんじゅうの販売は、4月末〜9月中旬です。
【金蝶園総本家 大垣駅前本店 基本情報】
住所:〒503-0901 岐阜県大垣市高屋町1-17
電話:0584-75-3300
営業時間:8:00〜19:00
定休日:なし(年末年始のみ営業時間変更あり)
アクセス : JR 大垣駅より徒歩(約1分)
公式サイト:金蝶園総本家 大垣駅前本店
御菓子 つちや 俵町本店
大垣駅から南に約13分歩いたところにある「御菓子 つちや 本店 」。1755年創業で、250年以上の歴史を誇る老舗和菓子店です。
つちやのおすすめは、ぜんざいの中に水まんじゅうが入った「水まんじゅうぜんざい」。店内のイートインのみで食べることができます。水まんじゅうのこし餡とぜんざいの粒餡の食感の違いを楽しむことができる、あんこ好きであれば注文必須の一品です。
御菓子 つちやの「水まんじゅうぜんざい」
水まんじゅうは9月中旬ごろまでの期間限定販売。店内で食べると、セットで冷たいお茶が付いてきます。
つちやでは他にも、竹の容器に入った名物「柿羊羹」や、干錦玉と呼ばれる伝統的な和菓子を薄く延ばした色鮮やかな和菓子「みずのいろ」など、一度は食べてみて欲しい看板商品がたくさん。水まんじゅうを食べたら、お土産に持ち帰りをするのもおすすめです。
【御菓子 つちや 俵町本店】
住所:〒503-0876 岐阜県大垣市俵町39
電話:0584-78-2111
営業時間:8:30〜19:00
定休日:元旦
アクセス:JR 大垣駅より徒歩(約13分)
公式サイト:御菓子 つちや 俵町本店
餅惣
大垣城の近くに位置する「餅惣(もちそう)」。1862年創業で、大垣駅前の商店街の中にある老舗和菓子屋です。
餅惣の名物は、かき氷と水まんじゅうが組み合わさった「水まん氷」。大垣の特産品である枡の中に水まんじゅうを入れ、その上にふわふわのかき氷を削って、白蜜をかけた一品です。購入後は、お店の中や外に設けられたベンチに座って食べることができますよ。

餅惣の「水まん氷」
餅惣の水まんじゅうは、吉野葛と本わらび粉を使ったこだわりの逸品。第23回全国菓子大博覧会で、名誉総裁賞も受賞しています。
もう一つ、餅惣で人気なのは「水まんじゅう ーソラー 」。大垣の空と水をイメージして、青と白に流し合わせた葛生地の中に、雲に見立てたマスカルポーネチーズが入った水まんじゅうです。水まんじゅうの和とクリームチーズの洋が一体となって、さっぱりしながらも濃厚な味わい。少量のみの販売なので、開店後すぐに購入するのがおすすめです。
水まんじゅうの販売は、4月末〜9月中旬です。
【餅惣 基本情報】
住所:〒503-0887 岐阜県大垣市郭町1-61
電話:0584-78-3226
営業時間:8:00~18:00
定休日:不定休 / 1月1〜2日
アクセス:JR 大垣駅より徒歩(約10分)
公式サイト:餅惣
水まんじゅうはネットでも買える!
本場の水まんじゅうを食べてみたい、だけど忙しくてなかなか岐阜に行く機会がない。そんな人も、お家にいながら大垣の水まんじゅうを味わうことができますよ。
今回紹介した「御菓子 つちや」は、ネット販売でお取り寄せして食べる事ができます。。消費期限は到着日の翌日までですが、カップに入った水まんじゅうはそのままの美味しさで頂けます。
「金蝶園総本家」では通販は行っていませんが、店頭から水まんじゅうを発送することができます。8個入り、12個入り、16個入りと個数も選べるので、親しい方に送ってみてはいかがでしょうか。
長時間冷蔵庫で冷やしすぎると固くなり風味を損ねてしまう日持ちしないスイーツです。購入したら早めに食べてくださいね。お家で食べる時には氷水に浮かべて美味しく食べてみてくださいね。
水まんじゅうを食べに大垣に訪れよう
水の都・大垣が生んだ水まんじゅう。お店ごとに様々な特徴があるので、水まんじゅうの食べ歩きをするのもおすすめです。販売期間には限りがあるので、訪れる際にはホームページなどで事前にチェックしてみてくださいね。味にも見た目にも涼しい水まんじゅうを食べて、暑い夏を乗り切りましょう。