私たちの強い味方「祝日」。日本には年に16回祝日があり、一つひとつに意味が込められています。時に祝日は旅行に行く機会や大切な休息を与え、私たちの生活を支えてくれています。
その祝日ですが、2021年度はなんと東京五輪の影響で海の日・スポーツの日・山の日が一時的に変更に。しかし、2022年度には再び元の日程に戻っているのです。
今回は祝日の成り立ちや歴史、おすすめの連休など紹介していきます。
祝日の成り立ち

いつが祝日か分からなくなる女性
祝日はもともと、建国や独立といった歴史的な出来事に関した重要な日に由来し、功績のある者を称えるための記念日です。そのため国によって祝日がバラけていれば、偏っているなんてことも。
ここでは日本の祝日の成り立ちや時期などを紹介していきます。
1月
新年度を迎え新しい気持ちで一年をスタートしやすい1月。そんな1月の祝日は2回あります。
元日

祝日の元旦
新年の最初に迎える祝日は1月1日の「元日」。日本では元日を「四方拝(しほうはい)」とも呼びます。
四方拝とは、明治から昭和前期まで宮中・神嘉殿(しんかでん)の南庭で天皇が1月1日の早朝に行っていた皇室行事である天地四方の神祇を拝する儀式です。四方拝にちなみ別名「四方節(しほうせつ)」とも呼ばれています。
成人の日
「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」ことを趣旨とし、満20で成人になった人々を激励・お祝いをする祝日が、「成人式の日」となります。
1999年までは成人の日を1月15日と定めていました。祝日を15日にしたのはこの日が小正月のため。かつて元服の儀が小正月に行われていたことによって制定されたと言われています。
現在はハッピーマンデー制度により1月の第2月曜日となりました。
2月

2月は節分などのイベントもある
如月(きさらぎ)という別名を持つ2月。上旬に立春を迎え、暦の上では春であるものの、まだまだ寒さを感じる月です。そんな2月も祝日は2回。
建国記念の日
日本の建国を記念するため1966年に制定された2月11日の「建国記念日」。建国神話の基、建国を祝うために建国記念の日が定められました。
天皇誕生日
天皇誕生日は必ず固定の祝日ではなく、天皇継承により変わるもの。平成天皇・明仁さまが2019年4月30日に退位されたことにより、12月23日が天皇誕生日が2018年を最後に平日になりました。
日本で一番最初に祝われた天皇誕生日は、なんと宝亀6年(西暦775年)の光仁天皇。またその頃の天皇誕生日は「天長節(てんちょうせつ)」と呼ばれており、かなりの歴史を感じられる祝日です。
3月

ひな祭りなどもある3月
春の訪れを感じるようになる暖かい季節の3月。下旬には、関東や中部地方で桜が咲き誇るようになり、心踊らせる人も少なくありません。
春分の日
3月の祝日「春分の日」。1948年に祝日法により「自然をたたえ、生物をいつくしむ」ことを趣旨に制定されました。毎年20、21日のどちらかを春分の日とするため、はっきりと日付は決まっていません。
4月

春を知らせる鶯
学生であれば入学式、社会人であれば入社式と環境が大きく変わることもある4月。「昭和の日」と呼ばれる祝日が4月に一度だけあるのです。
昭和の日
実はこの祝日、元々は昭和天皇の天皇誕生日。
昭和の日と名付けられる前は「みどりの日」という名前でした。しかし2007年の祝日法の改正に伴い、みどりの日は5月に移行。昭和の日というのは「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」ことを趣旨に定められました。
現在の昭和の日は、ゴールデンウィークを形成する重要な祝日の一つになっています。
5月

こどもの日には鯉のぼりが泳ぐ
田植えをスタートする月ということから「早苗月(さなへつき)」と呼ばれ、その呼称が短くなり「皐月(さつき)」と言われるようになった5月。なんと5月には3回も祝日があります。
建国記念日
まずは5月3日の「憲法記念日」。1947年に「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する」ことを趣旨とし制定されました。
みどりの日
「自然にしたしむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」ことを趣旨し5月4日に制定された「みどりの日」。憲法記念日に続いた祝日です。もともとは4月29日の祝日でしたが、昭和の日が制定されることで移動する形に。
こどもの日
最後に続くのは「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」ことが趣旨に制定された「こどもの日」。5月5日の祝日です。
この3つの祝日は、ゴールデンウィークを形成する重要な祝日であり、土日と重なることで5連休になることも。
7月

七夕に願いをこめよう
さまざまなお祭りや七夕のイベントが多くある7月。7月には祝日が2日あります。
海の日
「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことを趣旨に「海の日」に。一定の祝日を日付固定ではなく曜日で固定するという「ハッピーマンデー制度」により7月の第3月曜日に固定されています。
スポーツの日
スポーツの日という言葉を聞きなれない人も多いかも知れませんが、スポーツの日とは元々「体育の日」。2020年に名前が改正されました。
1964年に東京オリンピックの開会式が行われた10月10日を、1966年に「体育の日」に定め国民の祝日としました。
体育の日も、海の日と同様にハッピーマンデー制度のため、祝日は10月の第2月曜日と定められていました。しかし、2020年に東京オリンピック開催の時期に合わせ日程が変更。
それに伴い名前もスポーツの日に改正されました。世界で使われている「スポーツ」という言葉を使うことで、スポーツの価値を世界の人々とわかり合おうという趣旨のもと変更されました。
2022年からは再び10月10日がスポーツの日となっています。
8月

夏を満喫する女性
多くの海水浴場が賑わい、花火やスイカ割り、溜めに溜まった宿題を必死にやる学生など、日本ならではの風物詩が見られる8月。祝日は1回です。
山の日
8月の8日に「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨として「山の日」が制定されています。2016年に施行された祝日に関する法律の影響により、8月11日に毎年固定されることに。
9月

風情があるお月見
夏と秋の境界であり、日本でもお月見や十五夜といった文化が親しまれている9月。この9月には祝日が2日あるのです。
敬老の日
敬老の日は元々9月15日に制定されていましたが、ハッピーマンデーにより9月の第3月曜日に移動しました。
老人の日は「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことを趣旨とし制定。2003年までは敬老の日は9月15日に固定されていましたが、2004年からハッピーマンデー制度により、第3月曜日に固定されました。
敬老の日が9月に制定された理由としては農事暦や気候の良さ、養老の滝伝説が絡んでいると言われています。
秋分の日
「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。」ことを趣旨として制定された秋分の日。この秋分の日は昼と夜の長さが一緒になる日だとも言われており、毎年9月の23日頃といわれています。秋分の日の曜日によってはシルバーウィークと呼ばれる連休が生まれることも?
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11月

秋の景色と着物の女性
日本では美しい紅葉が見られ、子どもの成長を祝福する七五三なども全国的に行われる11月。そんな11月には2回の祝日があります。
文化の日
「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨とし11月3日に制定された「文化の日」。日本国憲法が平和と文化を重視していたことにより作られました。
勤労感謝の日
「勤労をたつとび、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう」ことを趣旨とした「勤労感謝の日」が制定されることに。
日本では古くから、天皇が新穀などの収穫物を神々に供えて感謝し自らも食する「新嘗祭」(にいなめさい)という祭事が行われてきました。
新嘗祭は、1872年までは旧暦11月の二回目の卯の日に行われていましたが、太陽暦が導入された1873年になって、旧暦11月の二回目の卯の日は、新暦の翌年1月に当たり都合が悪いことに。新暦における同年11月の二回目の卯の日であった11月23日に行われました。同年公布の明治6年太政官第344号布告によって、祭祀と同名の休暇日となりました。
祝日が変更になったことがある?
本来は2020年に行われるはずであった東京五輪。社会情勢やさまざまな変化により1年遅れで開催されることが決まり、2020年と2021年の祝日は少し変わりました。
変わったことで元の祝日はどうなるのか?どの祝日がいつに変更したのか?まとめを紹介します。
2021年に変更した祝日は東京五輪の影響によるもの?

東京五輪の会場
2021年に変更した祝日は合計で3日。なぜ変更したのか?それは東京五輪開催の影響によるものでした。
海の日

日本の誇りの綺麗な海
■7月の第3月曜日→7月22日
東京五輪の競技大会開催期間中のアスリートや観客等の混雑を緩和、円滑な輸送、経済活動や市民生活の共存のため祝日を移動する東京五輪・パラリンピック特措法が可決。2021年度は本来の第3月曜日の祝日が変更になりました。
スポーツの日

祝日のスポーツの日に東京五輪は開催
■10月の第2月曜日→7月23日
スポーツの日も、海の日と同様にハッピーマンデー制度のため、祝日は10月の第2月曜日と定められていました。しかし、東京オリンピック開催の時期に合わせ変更。
2021年度は、もともとの祝日である10月の第2月曜日は平日に。
山の日

山の日は山の恩恵に感謝してみよう
■8月11日→8月8日
海の日・スポーツの日と同様に東京五輪・パラリンピック特措法により8日に変更しました。また、8日は東京五輪の閉会式であると同時に日曜日の祝日であるため、翌日の9日月曜日は振替休日となりました。
実は2016年に施行された祝日「山の日」は、6月が有力な候補だったのです。しかし、6月に祝日があると学業に支障が出ると教育界から反対の声が。
さらには経済界も株主総会を控える月になるため同様に反対したことにより、祝日である山の日は学生の学業に支障のでない8月に決定したといわれています。
祝日を利用した連休を満喫しよう!
祝日を上手く利用し、休暇を思い切り満喫するためのオススメの期間を紹介します。
大型連休のゴールデンウィーク

大型連休のゴールデンウィーク
一年の中で最も休日がまとまっているゴールデンウィーク(GW)。うまく休日を合わせれば大型連休に!4月29日は昭和の日なので、うまく活用したいものです。GWは一年で一番長い休みがとれるのでオススメ。遠出の旅行や休息も夢ではありません。
涼しくなった頃のプチ休暇

9月はコスモスが咲き誇る
夏真っ盛りを過ぎて涼しくなり過ごしやすくなった9月下旬。敬老の日と秋分の日が上手く繋がると、シルバーウィークに!暑いと旅行に行けない、涼しくなった頃に動きたいという方にオススメ。
祝日を大切に
今回は、祝日の成り立ちや変更日、おすすめの連休を紹介していきました。「この日は祝日じゃなかったっけ?」「祝日なのを忘れてた!」となってしまいがちな祝日。しっかりといつ祝日があるのか把握し、思い切り楽しみましょう。
また、今まであまり気にせずに過ごしていた祝日も意味を知れば違う過ごし方ができるかも?
1日休めば連休ができることもあり、旅行や疲れた身体を癒すのにピッタリ!ぜひ祝日を利用して色々なところに足を運んでみてはいかがでしょうか。